菖蒲の児童デイサービス
Kids in the Playground
Category: Welfare

SHB01

SHB02

SHB03

SHB04

SHB05
Photo: Ioto Yamaguchi

放課後等デイサービスとは、就学している障害児について、生活能力の向上のために必要な訓練や、社会との交流促進などを行うことを目的として、授業の終了後や休業日に通う、児童福祉法に基づいた通所施設です。
障害といっても様々な症状があり十把一絡げにしてはならず、慎重に対応する必要があるため、内装や設備など多岐にわたって制約が生じます。
例えば、視覚過敏である児童のために仕上げには派手な柄を避け、落ち着いた色調にまとめたり、明滅の少ない照明器具を選定する必要があります。
こうした多くの制限の中、単調で退屈な空間になってしまう事例も少なくありません。また、障害児のための施設ということでネガティブなイメージがあったりと、閉鎖的な空間になる傾向が強いのが実情です。
我々はこうしたイメージを払拭するために、気兼ねなく訪れて遊べる公園のような、明るく開放的な計画を提案しました。

既存建物は、北側にある車通りの多い県道に面して、出入口と大きなガラス面を配し、東西方向は画一的に区切られた、一般的なロードサイド店舗です。
当該貸店舗は、東西が区画のため開口部が無く、南側の壁には排煙窓が設けられています。施設の性質上、児童が活動する指導訓練室は、死角が無く、見通しが利き、まとまった面積が確保された部屋が求められます。指導訓練室以外の諸室や水回りを、南側へまとめ、家型が連なったような形の間仕切り壁で、指導訓練室と仕切りました。
排煙窓から得られる採光や通風を、家型の隙間を通して、指導訓練室まで導くと共に、開放感も獲得しました。家型に沿って、カテナリー曲線を描いた天蓋を設けることで、光に溢れた柔らかな雰囲気の学習室となりました。
児童が家型の隙間を狙って、物を投げたとしても、天蓋が安全網とし機能します。トイレの切妻天井も、一部が半透明の中空ポリカーボネート板になっていてるので、自然光で明るく、清潔感があります。
様々な障害に対応するため、シンプルな内装、明滅の少ない照明器具、騒音の少ない換気設備、抗菌性や衝撃吸収に優れた床材を採用しました。

子供たちは学校教育以外の様々な場面で多くのことを経験して成長します。
そのひとつである放課後の校庭や公園は、児童にとって学級や学年を越えた社交場としても機能しています。
療育やレスパイトケアいう役割ばかりでなく、そのような何度も訪れたくなる場所、そして個々にお気に入りの場所が見つけられるような、子供たちのサードプレイスとして貢献できることを目指しています。
 キッズデザイン賞受賞 

用途:放課後等デイサービス
所在地:埼玉県久喜市
主体構造:鉄骨造
延床面積:100.00m2
設計期間:2016年11月~2017年1月
工事期間:2017年1月~2017年2月

Use: Child development support center
Location: Kuki-shi, Saitama
Structure: Steel
Total floor area: 100.00sqm
Design period: 11/2016 - 1/2017
Construction period: 1/2017 - 2/2017

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