利根運河の架橋/風景に溶ける橋
Tone Canal Bridge
Category: Public

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存在を主張せず、風景に溶け込む橋を提案します。橋を渡る際も、橋の存在を意識することなく、より直接的に、緑に溢れた景色を身近に感じることができるよう計画しました。護岸から眺めても、橋上からの眺望に対しても、景色に透ける橋の提案です。河川敷に自生している樹木の間を縫うように、橋梁を架けることで自然に歓迎されているようなシークエンスを体験することができると共に、緑豊かな理窓会記念自然公園と正対することで、厳かな雰囲気と、凛とした空気感に包まれます。この優美な外観と、非日常的な経験が、地域住民に親しまれることを期待しています。

橋梁形式は、PC吊床版橋(直路式)を採用します。吊床版橋は、材料強度を活かした構造のため、部材数が少なく、自重を軽くすることができる工法です。また、プレキャスト施工により大幅に工期が短縮でき、経済性に優れています。他の吊橋に比べ、剛性も高く、振動特性や耐風安定性に優れている形式です。大型機械の搬入が困難な場所や、施工条件の悪い渓谷などでも施工可能で、安全性、維持管理に優れており、他の橋梁形式に比べて利点が多いのも特徴です。さらに、他の構造形式を凌駕するスレンダーな構造体は、風景と調和するという点でも、本計画敷地に最適な橋梁です。

計画した橋は、支間71mに対してザグが1.8mとなっています。橋の両端の桁行き方向に、架設ケーブルを通すための溝を設け、橋中央部に床版へプレストレスを与える緊張ケーブルを配置します。架設ケーブルは橋体自重を負担し、緊張ケーブルは橋面や活荷重を負担します。両橋台にはグランドアンカーを施工し、水平反力に対処する構造です。また、風の影響を受けにくいよう、桁の両端にフェアリングを設けていますが、空気抵抗を減らすばかりでなく、床版がより薄く、軽やかに見える効果も担っています。

施工概要:
1.両側の橋台を施工後、グランドアンカーを設置する。
2.足場を設置し、架設ケーブルを渡架する。
3.架設ケーブルを所定のザグに調整する。ザグの経時変化を管理する。
4.懸垂架設工法によりプレキャスト版をスライドし、架設する。
5.間詰め部には、支間中央部より両橋台方向へ、同時にコンクリートを打設し、一体化させる。
6.両橋台とプレキャスト版の区間を支保工により施工する。
7.緊張ケーブルをプレキャスト版に挿入し、床版内にプレストレスを導入する。
8.橋面舗装を行い、仮設を撤去する。

用途:架橋
所在地:千葉県流山市
主催・後援:東京理科大学、野田建築会、流山市
主体構造:直路式吊床版橋
設計期間:2018
状況:実現せず

Use: Bridge
Location: Nagareyama-shi, Chiba
Sponsor: Tokyo University of Science, Nagareyama City
Structure: Hanging floor slab bridge
Design period: 2018
Status: Incompleted

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